伝統文化が息づく八幡平市の夏
地域の絆を感じる一日
横間虫追い祭り
7月20日、八幡平市横間集落で市指定無形民俗文化財の「横間虫追い祭り」が行われました。
横間虫追い祭りのはじまりは、江戸時代の天明の大飢饉。人々が害虫や病気に苦しんでいるとき「五穀豊穣」と「悪病退散虫追い」を唱え、集落を巡ったのが始まりとされています。200年以上続く民俗芸能のひとつです。
祭りでは、鍾や太鼓で調子を取って「五穀豊穣、稲虫はらえ、豊作祭りやー」と唱えながら、稲わらで作った一対の人形を掲げて集落を練り歩きました。
この日は、横間虫追い祭りが見たいと訪れた岩手ホテル&リゾートでイベントマネージメントをしているニンさんとマークさんのお2人も飛び入り参加して、行列を盛り上げました。
左から、岩手ホテル&リゾートのニンさんとマークさん
唱え役は、横間虫追い祭り保存会会長・畠山修悦さんから受け継いだ、北上市に住む息子さんの正栄さんです。行列の先頭に立ち、お父さん譲りの朗々とした声で唱える姿が印象的でした。
畠山修悦さんは「この祭りがあってこの地区が盛り上がっている。(受け継がれてきた)祭りを絶やさないために頑張らないといけない」と話し「(息子には)ずっと続けてやってほしい」と願いと期待を込めました。
父として息子さんが 伝統を受け継いでくれたことがとてもうれしい様子でした。
昨年の横間虫追い祭りについては、動画でも紹介しています。↓
https://www.8mt-2shin.com/2024/09/yokoma.html
・・・横間虫追い祭りと同じ日に3集落で行われた
市指定無形民俗文化財「先祓い」を追いました・・・
<お神輿渡御を先導する先祓い>
八幡平市田山地区の折壁・日泥、兄川、田山の3集落で、神社の祭典行事が行われ、市指定無形民俗文化財の「先祓い」が奉納されました。
先祓いは、神社の神輿渡御に先立って道を清めて歩く露払い的な芸能で、行列を組んで踊りながら進む練り踊りの1種です。
この日は、小・中・高校生を中心とした踊り手たちが扇子、刀などを持ち、太鼓や笛の音に合わせて各集落を練り歩き、勇壮な舞いを披露しました。
2年前、青森から引っ越してきた田山小学校6年の八幡結衣(やはたゆい)さんは、 この祭りのために2週間ずっと練習してきました。
「棒を持って踊るところが楽しい。扇子を広げて大きく踊るところも見てほしい」と話していました。
兄川稲荷神社 (2024/7/14 撮影)
※昨年の兄川先祓いの動画はこちらでごらんください。↓
https://www.8mt-2shin.com/2024/08/202414.html
兄川稲荷神社の境内や御旅所(おたびしょ)で勇壮な舞を披露しました。
兄川集落に伝わる兄川先祓いは、刀を持つのが特徴です。
先輩の踊り手と踊ることで、次世代の子どもたちに受け継がれていくのかもしれません。
大太鼓による「ぶっこみ」は見どころであり聞きごたえがあります。
体を揺さぶるような迫力ある音です。
イギリスから旅行中で八幡平市に民泊していたダニエルさんは、民泊のオーナーに聞いて見学に来たとのこと。
「神社の雰囲気、(参加者の)衣装の色、お揃いの着物、踊り、すごい!」とタイミング良く見学できた幸運を喜び、感動の様子でした。
八幡平市の歴史ある祭りの雰囲気を体感でき、貴重な機会になったようです。
様(さま)になっています。かっこいい!
田山小学校6年 佐藤絢心(あやね)さんは、
「神輿行列のときは、棒を回すのが大変だったけど、後ろに仲間がいてくれたから勇気を出して、ここまでできたと思う」と話し、「(この後も)もう少し声を出して、元気に棒を回して踊ります」と力強く話し、お友達のところに戻っていきました。
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この日はとても暑い日でしたが、踊り手たちは流れる汗を拭うこともなく、かけ声をかけながら元気いっぱいに踊っていました。訪れた人たちの温かい拍手も大きな励ましでした。
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横間の虫追い祭りも各集落の先祓いも、地域に根付いた民俗芸能。地元の人たちのつながりによって大切に受け継がれ、国内外の多くの人たちを魅了しています。
また来年、お会いすることを楽しみにしています。