安代りんどうの種まきから苗の配布そして定植まで
生産量日本一を誇る安代りんどうは今年も例年通り3月に種まきが行われ、6月栽培農家に苗が配布されました。種まきから配布までの3ヶ月間を紹介します。
3月:ゲル播種で効率よく安代りんどうの種まき!
3月中旬から、八幡平市内の日影、横間、苗代沢の3か所の育苗センターでりんどう育苗組合による「種まき」が実施されました。
3月27日、日影育苗センターでも、リンドウの種をゲル(寒天状の液体)に混ぜてボトルに入れ、土の入ったトレイに撒く「ゲル播種」という方法で丁寧に手際よく作業が進められました。
ボトルに入れて、トレイ1枚1枚に丁寧に種まきします。
りんどう育苗組合の伊藤重文会長は、「ゲル播種は機械で撒くよりも効率的で、種のロスが少ないし発芽も早くなります。生産者の皆さんに元気な苗を届けたいです」と今年の育苗のスタートに際し話していました。
今年は3カ所の育苗センターで約6,200枚のトレイに種まきをしました。
4月:種まきから約2週間 苗の移植作業
約2週間後の4月7日、横間育苗センターでは「苗の移植作業」が行われていました。
ピンセットでセルの中から選んだ1本を、発芽していないセルの真ん中に植え替えていきます。
芽が出たばかりの苗はとても小さく根気のいる仕事です。
しかし「移植作業」は、元気な苗にするために大切な作業です。
JA新いわて八幡平花卉生産部会 副部長の畠山馨さんの
「これから温度管理と水管理が重要です。待っている生産農家さんに元気な苗を手渡すまで気が抜けません。失敗は許されない」という言葉に責任感と緊張感が伝わってきます。
5月:種まきから約40日 間引き作業
5月1日、再び「間引き作業」をしているという日影育苗センターに行きました。
苗もだいぶ成長したようです。
セルトレイに数本ある苗を、のびのびと元気よく育つように1本にするのが間引き作業です。
間引きをするとこの根がセルいっぱいに張っていきます。
間引きされて1つのセルに1本の苗になりました。
3つのセンターあわせて約6200枚のトレイ(1枚162穴)があります。
りんどう育苗組合会長の伊藤重文さんは、
「これまで順調に育っています。ハウスの中の温度、湿度管理はとても重要です。苗の状況を見ながら育苗していかなければなりません」と話し、生産農家に渡すまで苗から目が離せません。
6月の配布に合わせて間引き作業を進めていきます。
6月:種まきから約3ヶ月 いよいよ苗の配布
温度管理、水管理に細心の注意を払いながら各育苗センターで丁寧に育ててきた安代りんどうの苗が、6月に入り生産農家に配布されました。
6月14日(土)苗代沢育苗センター 早朝6時
あんなに小さな種が大事に育てられ、ここまで成長しました。
苗代沢育苗センターには、生産農家の方々が次々に苗を受け取りに訪れていました。
苗代沢育苗センターの工藤佳輝さんは、
「春は天候が変わりやすくハウス内の温度管理に苦労しました。配布先の農家の畑では元気に育ってほしい、それが一番」と話します。
生産農家 家族で定植
苗を受け取った農家では、さっそくマルチを張った畑に1つずつ定植していきます。
八幡平市姥子石の木元さんの畑でも家族で定植作業を行っていました。
後継者として16年、祖父とともに栽培する木元政汰さんは「祖父の背中を見て学んでいます」とお手本となる人がそばにいることに感謝をしている様子。
安代りんどうを育てて半世紀の祖父の八幡範男さんは「手間をかけて育てたから出荷する時はやっぱり最高だな」と栽培の喜びを語ります。
これから定植した苗は、水をたっぷりあげてしっかり定着したら、病気や害虫に注意をし、草取り、水分管理をしていきます。
定植から1年は株を育てる大事な時間
昨年定植したリンドウの傍らに立つ八幡範男さん。いよいよ今年出荷になります。
人の手と想いが込められた安代りんどう
すべての作業で人の手と想いが込められているからこそ安代りんどうが全国に誇る高品質を維持できるのだと感じます。
次回は、農家での栽培の様子をお伝えしていきます。