八幡平市発の働き方改革!得意を伸ばして楽しく働く【連載 第2回(全2回)】


得意を伸ばして楽しく働くを実現している「花っ娘」。代表の宮野亜由美さんに、「花っ娘」のあり方や意識しているポイントについてお話いただきました。

ーできるところは伸ばして、できないところは無理にしないなど、働きやすい職場の実現を実践されているように見えますが、意識して行っているのでしょうか?

自分ではそんなつもりはないんだよ、実は。ただ、自分が今まで子育てしながら働いてきた時に、やっぱり嫌だなと感じたことは常にやらないと決めています。

例えば「こういうことを経営者にされたら嫌だな」とか「言われたら嫌だな」とか、そういったところを言わないようにする。後は、仕事に関してはダメなことはダメと伝えメリハリをつける。仕事は仕事、休憩は休憩。「仕事中だけど、手を動かすのであれば、喋っててもいいよ」とか。はっきりコミュニケーションをとります。話すことは、自分も絶対喋りたくなるし、自分がやりたくなる時のことを作業でも考えて「それはいいけど、これはだめだよ」とか、「こういう時はこうしてね」とかは常に口に出して伝えています。

ーはっきり伝えることと合わせて、コミュニケーションの取り方で工夫されているポイントはありますか?

例えば、昨日ちょっと休み時間少なかったよねという時は、次の日に昨日休み時間少なかったから20分くらい休むかとか、柔軟に対応します。外で仕事をしている時は、仕事に関するおしゃべりが多いですが、「わからないことがあったら訊いてね」とも伝えていますね。

結局、こちらが教えたくても、相手は何が分からないのわからないと教えられない。だから、その時にそのコミュニケーションで「どう?」とか「分かる?」とか、「これいいね」とか聞いたり伝えたりします。褒める時はものすごい褒めますしね。

お母さんたちって家で褒められることまずないのではないでしょうか?「洗濯してくれてありがとう」とか、「茶碗洗ってくれてありがとう」と、なかなか言われない。だからこそ、ここでは常に良いところは褒め合おうと伝えています。そうすると、彼女らは伸びていく。すると今度は自信がついていくので、花っ娘のモットーは「自信と誇りを持って作業しましょう」となっています。

また、「りんどうに携わりましょう」という話をしているので、りんどうに関わることについて、自信と誇りを持って、自分たちはりんどう農家ですと言い切ってくださいと伝えています。

花っ娘のりんどうのドライフラワーを活かした商品

ー働く人にも「りんどう農家と言い切ってください」と伝えているのですね。

はい、言い切ります。そこを言い切るのであれば、作業も自信を持ってやってくださいと話しています。ダメと言われたからできないではなくて、できないをできるにすることを意識する。それをだんだんに教えていくと言いますか促していく。結構無理なことを、できないのも承知で言ってますが、みんながちゃんと捉えてくれるという、なんと言いますか信頼感があります。

ただ、自分で信頼を作ろうと思っているわけでもなくて、とにかく自分がやられて嫌なことや言われて嫌なことは絶対しないと、自分に言い聞かせてきたので。それは活きていると思います。私のポリシーに通じていますね。

ーポリシーに関するお話を聞かせてください

例えば、子どもの熱が上がったので迎えに来てとか、いきなり電話が来て。本来であれば、仕事中で行けないから誰かに頼んでとか方法もあるのですが、でも、お母さんしか行けない方がたぶん今の人たちは多いのではないでしょうか。その時に「なんでいきなり休むの?」とか言われたら、もう嫌ですよね。そういう時には「いいよ、帰って」と言う。「途中でいいから、すぐ帰ってね」と。自分がやられて嫌なこととか、言われて嫌なこととかは絶対に人には言わないというのが、私の中のポリシーです。

やっぱり仕事でもなんでも楽しくないと、続かない。嫌なところには居たくないでしょう。経営していく中で、自分の辛かった経験も活かして、人からされて嫌だったことはやらない。働いて嫌な気持ちになる環境を作ることはしないと、常に肝に銘じています。

ー実際、働いているみなさん、楽しそうでしたものね。私も働きたくなるくらい(笑)

ありがとうございます。それが1番ですね。

ーパートさんに支えてもらっているといるとおっしゃっていましたよね?

パートさんがいないと成り立たないですから。経営者は私になりますが、実際に動いているのはパートさん達です。私は、みんなができないところ、預けられないところを全部やっている形です。自分1人でやれって言われたら、できなくはないかもしれないけれど、そんな体壊してまでやりたくないですよね(笑)。みんなでできることがあるのだから、みんなでできるところでやってもらえばいい。今の、この10年続いていることは、やはりパートさんがいないとできなかったというのはありますね。

ー得意なことを伸ばしていく姿勢の理由を教えてください

得意分野から得意にしていった方が仕事の効率は良いです。変な話、思い込みの力もあると思います。「私は〇〇がすごく得意です」という人も、実はこちらから見れば全部できてるんですよ。だけど、自信が持てない部分はある。そして1番の自信を持てるところに自信を持ってる。それでいいんです。全部が全部抱える必要はないです。

技術としてのレベルを上げるっていうのは、その年、その年でやっぱりそれぞれに「いいよ」「大丈夫だよ」「できてるよ」とは必ず言います。できてないのにできてると言ったことはないです。みんながそれぞれに考えてやってくれてるだけの話。だから、このパートさんたちがいなくなると、ここの圃場は成り立たないですよ。

やれるところもあれば、やれないところもある。いずれみんなから支えてやってもらっているところが、技術に関しても、作業に関しても、時間に関しても、みんなで共感できる。大事なことは、大変なことも、良いことも、とにかくパートさんたちと共感するところと、情報ですね。

ー情報共有が行き届くことは大事ですね。意識していることはありますか?

情報というのは、報告・連絡・確認です。これはやっぱり1番大事で、やったのかやらないのか分からないと、次の指示は出せない。なので、必ず報告をしてもらっています。もしできていないことがあっても、あの人やってないよねとか、影で言われるのが一番腹立つでしょ。それはやめようねと伝えています。必ずその報告、連絡、確認を行う。それを共感、全員ですることによって「たしかあそこ終わってたよね」とか「やってたよね」という確認もできます。

共感も必要な要素だと思いますね。みんなで綺麗にする、みんなで収穫するということに関して、仕事を通じて共感が生まれてくると思いますが、それに対しての達成感と自信と誇りが持てるようになる。一連して、働く人に対して、自信と誇りが持てるようになるのではなかと思います。

ー自然を相手にしているからこその苦労はありますか?

苦労と言いますか、今、私も10年経ったところで、どこの状況が同じだかなんていうのは絶対分からない。だから、毎年勉強です。以前にこういう状況はあったけれど全く同じということはない。120%言い切れるくらい、全く同じ状況っていうのはまずないです。だから、やっぱり畑に来て、自分の目で見て、確かめてこうだなと。合ってるか合ってないかは分からないけれど、とりあえず今はこの状況で、基本はこうだよねというところに念頭に置いて、応用を加える。これまでの経験が頭の中に全部入っているというのは大きな財産ですね。

ーりんどう農家で働いてみたいという方に向けたポイントはありますか?

私たちは、私たちのところから「りんどう農家で働いてるんだよ」と自信と誇りを持ってくれたら、それでいいかなと思っています。経営者だけが「りんどう農家です」ということはない。働くという選択肢を選んだ人も、「りんどう農家」を名乗る形もありなのではないかと思います。

楽ではないけれども、楽しく働くことはできる仕事です。子育て中の方も、融通がききやすい。お母さんが活き活きと働いている姿を見ることは、子どもも楽しい。りんどう農家で腹たきたいという人が増えたら、面白いですよね。「りんどう農家」として、自信と誇りを持って働く人が増えてくれたらいいなと思います。

ーありがとうございました


花っ娘 (はなっこ)

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令和に入り、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が支持され、働き方が多様化するようになりました。近年注目を集めているSDGsを達成する鍵も「ディーセント・ワーク」にあると言われています。リンドウ農家として、パートさんも経営者の方も楽しく働いている姿は、印象的でした。実は八幡平市に、時代に求められる最先端の働き方があったことを、少しでもお伝えできたのではないかと思います。ありがとうございました!

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