来てみればわかる!受け入れてくれる土壌のある街


今回お話を伺ったのはリンドウ農家の齊藤和代さん。

茨城県で生まれ、結婚をきっかけに2000年に八幡平へ越してきました。インタビュー時点で20年近く経過していますが「あっという間ですよー」と朗らかに答えます。齊藤さんのお話を伺いました。

新しい土地へ

結婚を機に八幡平市に住むことになった齊藤さん。もともと八幡平市のことを具体的には知りませんでしたが、全く生活のイメージがつかないわけでもなかったそうです。

「祖母の家が福井県だったり、父が何年か単身赴任で青森県に住んでいたことがありました。だから、住んだことはないけれど、雪がある生活や寒さに全然イメージがないのとは違う感じでしたね」

最初に来た時、”遠いところ”だと感じたエピソードがありました。

「季節は忘れてしまいましたが、最初に来た時は夜でした。夜道でほとんど街灯はなく、大きな通りから外れた後は、暗いところを通り越して、家の明かりが見えてきて”そこかな”と思えばまたそこも通り越すといった感じで。もちろん旦那の運転なので、道に迷ったわけではありません。ただ”あ、次あの明かりのあたりかな”と思っていると、またそこを通り越す。記憶というのは、慣れないところを遠く感じるものですが、”遠いところに家があるんだな”とは思いましたね」

受け入れてくれる土壌を感じる


戸惑うことや苦労はなかったですかという問いに、「苦労したのはそんなにはないですね」と答え、続けて笑顔でお話してくれました。

「岩手に行くとなっても、戸惑いは特になかったです。実際に来てみると、会う人、会う人”よく来てくれたね”って言ってくれて笑 そういう温かい言葉をかけてもらえたことで、長続きできたのかもしれないです。もうお亡くなりになった方ですが、お年寄りのおばあちゃんとかが頑張って標準語を使ってくれることがあったり。そういう受け入れようという体制が、地域の方や嫁ぎ先にあったことも、なじみやすかった理由だと思います」

雪が深い地域ですが、雪に対しても抵抗はありませんでした。

「雪も大丈夫でしたね。ただ、年々寒さが身に染みるようになっているなとは思います。最初はわりと好きでしたが、やっぱり寒すぎるのは考えものですね」

専業のリンドウ農家として活動


越してきてから、リンドウ農家である旦那さんの家の仕事に従事することになります。

八幡平市はリンドウの生産額、栽培面積ともに全国一位。八幡平市で生産されるリンドウは「安代りんどう」として、全国の皆様に愛されています。大まかな年単位のサイクルを教えてもらいました。

「大まかに話すと、リンドウはまず3月後半に専門の育苗の農家の方が種を蒔きます。6月に育った苗の配布があり、植えて作業をしていきますが、植えたその年には獲れません。収穫は前の年から育てたリンドウを、早ければ6月後半から獲り始めます。品種や状況にもよりますので一概には言えませんが、3〜5年とり続ける形です」

専業リンドウ農家である齊藤さんの家では、現在10種類ほどのリンドウを育てています。1年を通して忙しく働いている齊藤さん。「リンドウを疎かにしたくない」ときっぱり言い切ります。

「私は面白いと思いますが、何が面白いの?と聞かれると、具体的には答えられないです。外での仕事は気持ちが良いですが、気持ちいいことと面白いことは違うと思いますし。空気がいいかどうかは、たぶんいいと思いますが、もう、分からないです笑 もしリンドウ農家になりたいという方がいたら、やる気があれば大丈夫だと思います。ただ、やる気のない人にはやらせないでしょうね」

来てみるとわかる


最後に、これから来る方へのアドバイスなどをお伺いしました。

「アドバイスはないかな(笑) あまり深く考えないで来た方がいいとは思いますよ。あえて言うなら、ぜひ来てみてくださいっていうことですね。来ないと分からないと思います。変な先入観とか持ってしまうと見えないこともあると思うので」