安比川流域に根付いてきた漆文化にまつわる場所をたどってみた!【レポ】

八幡平市安比高原の広大なブナ林から二戸市に向かって流れる安比川。

安比川流域には古くから漆の文化が根付き、上流域には器の原型となる木地を作る木地師、中流域には漆を器に塗る塗師(ぬし)、下流域には漆を採る漆掻き職人が多く暮らし、地域で分業体制を築くことで一体的な漆器製作が行われてきました。

2020年には八幡平市と二戸市が共同申請した「奥南部漆物語~安比川流域に受け継がれる伝統技術~」が日本遺産の認定を受けました。貴重な国産漆の生産を支え、それぞれの地域の漆器は”安比塗”、”浄法寺塗”として親しまれ、日本遺産として世界に誇る宝となっています。

安比川流域の”奥南部”と呼ばれたこの地で受け継がれてきた「漆物語」を短時間でたどってみましたので、そのようすをお届けします。

安比塗漆器工房(八幡平市)

「ひとり問屋」日野明子さんがセレクトした生活用品を展示・販売していました🧺

「うるしとお菓子」と題して市内外のお店の焼き菓子を販売していました🍪

カウンター、お椀、スプーンすべてに漆が使われています!

最初に向かった先は、八幡平市叺田にある安比塗漆器工房。
ちょうど「ピクニック行こっ!」(2023年4月29日~5月7日)というイベントが開催されており、漆器のほか生活用品や焼き菓子なども販売していました。また、期間中は特別に安比塗のお椀で味わう自家製味噌汁の振る舞いもありました!
味噌汁には、工房スタッフが「株式会社麹屋もとみや」の味噌づくり体験で作り、5年間熟成させた味噌を使用していて、深い旨味を感じました😋
日常に溶け込む漆器の製作と販売を行う安比塗漆器工房ならではの企画ですね♪

つづいて八幡平市のお隣、二戸市の漆スポットに向かいます🚙
安比塗漆器工房から車で約10分で二戸市に突入しました⛐


安比川沿いの産直「浄南ママ直」では山菜、花や野菜の苗が並んでいました🌿🌷

安比塗漆器工房から浄法寺漆芸の殿堂「滴生舎」(てきせいしゃ)まで車で約25分なので、気軽に行き来できますね。



滴生舎では「おわん展2023」(2023年4月29日~5月7日)が開催中でした。
昨年に続き2回目の開催となる「おわん展」では、浄法寺塗にこだわったお椀がずらりと並び、なんとその数は約100種類、圧巻の光景でした👀
滴生舎の工房でも、八幡平市安代漆工技術研究センターの卒業生が活躍されているそうです。

天台寺の参道入口で漆器の展示販売と工房を併設する「滴生舎」

自家焙煎したコーヒー豆やハンドドリップのコーヒーを販売していました。


イベント期間中、滴生舎の入口横では二戸市の地域おこし協力隊の活動の1つである”うるしびと”として漆掻きの技術習得に励む金山昌央さんが、自家焙煎した豆で淹れたコーヒーを浄法寺塗のカップで提供していました☕
漆器でいただくコーヒーは、口当たりが良いうえに、中身が熱くても器が熱くなりにくいので、カップを手に持っていても熱くならず、さらに軽いという漆器ならではの良さも味わうことができました!

安比川流域に設置された目を引くシルエットとデザインののぼり旗🚩

八幡平市役所結(ゆい)のひろばに展示されている日本遺産認定証と漆器。

今回購入した「安比塗」のお椀。使うごとに艶が増していくのが楽しみです。


現在は「安比塗」、「浄法寺塗」と呼び方が違っていますが、時代が変わっても漆器の美しさや使い勝手の良さは褪せることなく、日常に寄り添う漆器を作り続けながら、安比川流域の漆文化の奥深さや漆器のすばらしさを地域一体となって受け継ぎ、守り伝えているようすがうかがえました。
安比川流域に受け継がれる伝統技術や歴史を感じながら、日本遺産「奥南部漆物語」の構成文化財をたどってみてはいかがでしょうか。

今回たどったルート☟