季節を表現する暮らし『ひとひら工房』誕生秘話 ー家族でUターン移住ー

 

今回お話を伺ったのはリンドウの生産者で、ひとひら工房代表の木元由美子さん。

現在は子育てがひと段落ついて植物雑貨クリエイターとして活躍している木元さん。
八幡平市で生まれ育ち、一度は市外に出て花屋で働いていましたが、2011年にご実家のある田山に戻ってきました。

家族でUターン移住

ご実家のリンドウ農家を木元さんの息子さんが継ぐことになり、ご家族で八幡平市に戻ることに・・・。

「高校生の息子が学校に通えなくなってしまって。そんな時、両親がリンドウ(農業)手伝ってみないかと声をかけてくれたんです。やってみたら思いのほか合っていたようで続けています。」

農業は息子さんが継いで、木元さんは息子さんの手伝いをするようになりました。

「最近は育てるだけでなく、花き生産部会の一員として市役所に花を生けに行ったりもするようになって、楽しんでやっているようです。」

安代総合支所に飾ったリンドウのアレンジメント


「私は息子を手伝う側で、基準外の花の処分が気になってしまって。」

廃棄する花をドライフラワーにしてみたものの、大きな特徴の青色がすぐ褪せてしまう課題に直面したそう。



廃棄される花に新たな命を吹き込む

木元さんは生産者ならではの思いから商品作りの工房を立ち上げることにしました。


「花を出荷する時、基準があってその基準を満たせなかったものは大抵廃棄されるんです。

もったいなくて、どうにかできないかなって生産者の仲間内でも話していて。

せっかく愛情かけて育てたリンドウの魅力を余すところなく発信したい。

そんな思いからリンドウ農家のおかぁ〜ちゃんたちが8人集まり、グループを結成しました。


平成29年4月に活動拠点「潤」を構え、自分たちのペースで作品を作り続け

令和2年に「ひとひら工房」に改名しました。

現在も8名で活動しています。」

メンバーの中にはデザインが得意な人もいて、パンフレットや看板も全て手作り!


リンドウ花びら染めの誕生

グループの結成はある閃きを形にしようと思ったからだったといいます。

「きっかけは小学校3年生の娘の自由研究で
リンドウの花でハンカチを染めたのをみて『りんどう花びら染め』を閃いたんです。

その閃きを形にしたくてメンバーと試作品を作ったのが始まりでした。




丁寧に摘み取って花びらのみを絞って染料を作ります。


丁寧に摘み取った花びらのみから取り出した色素を使ってシルクのスカーフを染めてみたら

赤紫の染料からは想像がつかないほど優しい色に染め上がったんです。

リンドウの花びらから取り出した色素は不安定で紫外線や湿気に弱いと言うデメリットはあるのだけど、

植物の力を借りた草木染めならではの優しい色合いなので
リンドウ色にこだわって染めています。

そしたら今度は花びらを外した茎や葉も同じように染料を作って染めてみたくて、やってみたら綺麗な緑色になったんです。

次第に糸から染めて機織りしたいな・・・とワクワクが商品になっていきました。」

布地やリンドウの品種で色合いが変化するシルクスカーフ




商品開発室は畑?!

夏の農繁期は作品作りまで手が回らないほど忙しいのだとか。

「収穫期が終わった頃から畑で作業がない冬場の空いた時間に商品を作り溜めしています。

最近は畑で農作業中に作品作りのアイディアをねりながら作業するようになって。」

デザインを考えるうちに、身の回りにある天然の植物も使うようになっていきました。

「子供達と散歩しながらこれ綺麗な形だな、使えそう♪っと、なんてことない散歩すら楽しくなってきて。

ただ、植物によって質感などが全然違うので、保存方法や工程を試行錯誤しながら商品化を目指していて、とても時間がかかります。」

乾燥させてみたけれど、どんな風に商品にしようか考え中のタンポポの綿毛



肝心のリンドウは特に難しかった

3年間試行錯誤を繰り返し、何とかリンドウに合う保存のための薬剤を見つけたそうです。

「リンドウはすごく品種が多い花で八幡平市だけでも35種類のリンドウを栽培しています。

花びらが開く種類や開かないもの、いろんな色形があって加工もそれぞれ違います。

今後は改良を重ね、独自の配合で保存薬剤から作っていく予定です。」

プリザーブドフラワー加工(生花や葉を特殊液の中に沈めて、水分を抜いた素材、生きた植物と比べても遜色のない、瑞々しい質感と柔らかさがある。)したリンドウ。

八幡平といえばリンドウ!!

もっとたくさんの人にリンドウの魅力を知ってもらえるようにワークショップも開催することにしたそうです

「今は地域の子供達に植物と触れあう工房流花育『野の花遊び』を提供したりもしています。」

工房流花育『野の花遊び』身近にある野花や木の実を使った子供たちの作品

「最初はフクロウを作ってもらおうと思ったんだけど、

子供たちの自由な発想で、作っていくうちに妖怪や新種の動物のように変化していって。

教えるつもりが逆に新鮮な発見があって、とてもいい勉強になりました。」

限られた資源を最大限に有効活用する思いや、純粋にものづくりを楽しむということをワークショップを通じて強めていったといいます。


ついに店頭へ

メンバーたちと楽しみながら作るうちに様々な種類のボタニカル雑貨がうまれて、どんどん広がっていきました。

「畑が忙しい時期は作品を作れないし、全て手作りなので量産はできないのですが

季節の移り変わりとともに、楽しみながら試作品を作っていくうちに商品も増えていって

地元の知り合いのお店に置いてもらったのをきっかけに、いろんなところで扱ってもらえることになって。

今では八幡平市のふるさと納税返礼品にも選んでいただいてます」


リンドウを使ったハーバリウム雑貨



今の活動を長く続けていきたい

「もっとたくさんの人にリンドウと言えば八幡平、八幡平といえばリンドウのイメージを持ってもらえるようにと作品を作ってきたのだけど、

結局は思いを含めた「人」が大事なんだと思うようになって。

工房にいる時間が貴重な癒しの時間でもあるので、あまり忙しくしたくないんです。

丁寧に植物たちの命と向き合いながら、楽しむことを大切にしているので、あえてネットショップも開設しないようにしています。


最終的には農業を通して女性の居場所作りをマネジメントできればと考えています。」





「もったいない」から始まって

木元さんの閃きや作物に対する思いに集まって、広がっていく「人」の輪。

自然に寄り添い、作物と歩む「自分達らしい」暮らし




忙しいからこそ自分時間を大切にする、自分を労る優しさが生み出す

優しい商品。




大切に育てられた命を無駄にしない優しさが込められた
素敵な工房の作品のお問合せ先はこちら。

〒028−7606
岩手県八幡平市姥子石94

TEL:090-2609-3764
FAX:0195-73-3096
MAIL:ashirorkj.2017@gmail.com

代表 木元 由美子

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岩手県八幡平市松尾寄木1-668-68


〒020-0122 岩手県盛岡市みたけ3−2−37





その他ふるさと納税返礼品としても取り扱っています。
リンドウ染めシルクスカーフ