自分らしさを求めて多拠点生活

 

今回は東京都と八幡平市で二拠点生活を満喫している、宇土康宣さんにお話を伺いました。

岩手との縁

宇土さんのお母様が盛岡市出身ということもあり、戦時中盛岡市に疎開し、こども時代を過ごした宇土さん。戦後も都会に帰ることはなく大学卒業まで岩手で過ごしました。

「盛岡市立厨川中学校時代より山に興味を持ち、岩手県立盛岡第一高等学校、岩手大学とも山岳部に籍をおき、日本国内の山々を経験しました。その時に岩手山にも登り、八幡平市にも訪れたことがありました。」

東京での暮らし

大学を卒業後上京し、金融専門出版社に入社しました。

「コンピューターをいじった経験もありませんでしたが、システム担当として設計、購読者管理など幅広い仕事を一人でこなしていました。
パソコンといっても当時は紙テープに穴を開けた記録媒体を使うのが一般的な時代でした。」

アラスカの大自然に触れて変わった世界観

50歳を迎えた頃、お仕事を辞めてアラスカに行くことにした宇土さん。

「学生時代、山岳会に所属していた経験から、外国の山に登ってみたかった。
最初はヒマラヤに登ろうと思っていましたが、当時は紛争などで登山できる状況ではなかったために、アラスカに行くことにしました。」


「アラスカの大自然を体感して世界観が変わりました。山や川、間近で見る野生動物等、景色が日本とは全く違って魅了されました。

都会ではどうしても余裕がなくなる人が多いが、自然が心を癒してくれる。」

アラスカでのガイド時代

宇土さんは1988年にAFFC(アラスカフライフィッシングクラブ)を立ち上げました。写真を見せてもらいながら、アラスカでのエピソードを聞かせてもらいました。

宇土さん(左)が釣り上げた86センチのニジマス


「AFFCを立ち上げたのは、ゴールデンウイークに会社の釣り仲間と大物を釣り上げようと勇んでアラスカに出かけたのが始まりでした。ところがアラスカはまだ雪の中。本格的な釣りは夏を待たなければならないことを実感しました。」

キッチン、シャワーやトイレ、6人分のベッドを完備したモーターホーム


「その後、夏の3ヶ月間、クチコミの紹介者限定でモーターホーム(キャンピングカー)に寝泊まりしながら大自然を満喫するツアーのガイドを始めました。
フィッシング、トレッキングやナショナルパークツアー、グレイシャーベイ(巨大な氷山の湾)クルーズなどアウトドア生活を満喫するツアーです。」

互いに距離を詰めて今にも体当たりしそうなオスのムース(ヘラジカ)

「ツアーではカリブー(トナカイ)やムース(ヘラジカ)、グリズリー(ハイイログマ)等アメリカ特有の野生動植物も間近で見ることができ、大自然を肌で感じることができます。しかし有事に備えて常にライフルを携帯していましたよ。

常に大自然の中で過ごすアウトドア暮らしの中では、前もって釣っておいたサーモンやトラウトを燻製にして、アラスカならではのお土産も作っていました。」

自分らしさを求めたら二拠点生活になった

2006年に八幡平温泉郷の一画に中古物件を購入してから11月〜4月の寒い時期は東京都の自宅で過ごし、雪がなくなった頃に八幡平市に来て別荘で過ごす生活を始めたそうです。

「春に桜の名所を巡るのが楽しみです。岩手県には一本桜の名所がたくさんあります。
八幡平市内にも名所が数箇所ありますが、1番のお気に入りは三角山(滝沢市)の桜です。」

宇土さんが撮影した三角山(滝沢市)の一本桜


「その他、近隣の東北のお祭りや田んぼアートを見に行ったりして楽しんでいます。

最初は2〜3ヶ月おきに東京都に戻っていましたが、今年は東京都に一度も戻りませんでした。

歳をとって解ったことは、ゆったりとして自分らしく暮らすことが大事だと気付かされました。」

定年後は八幡平市の方にたくさん友達ができた

私たちが取材に来ると聞いて、奥様とチーズケーキを作ってくれていた宇土さん。

「こうやって作ったものを持ち寄ったり、ご近所さん達とキノコや山菜をお裾分けしあったり
同じ趣味を通して話が盛り上がって、一緒にBBQをすることもあります。

温泉郷のあたりは、地元の人よりは県外から来ている人達の方が交流があるように思います。
様々な地域から来ている人同士、交流が盛り上がるんですよ。

話を聞いてみると、結構一人暮らしの人も多いです。

都会にいると、人はたくさんいるけど、すれ違う時、挨拶する人はほとんど居ない事に慣れていたので、八幡平市は挨拶してくる人が多くて、最初は戸惑ったけれど、挨拶されると嬉しいですね。

毎日散歩することで、交流や四季を楽しんでいます。」

散歩中に見つけた綺麗な実。生活を彩る小さな発見も四季の楽しみのひとつ。

充実している日々の様子を語りながらコーヒー豆を挽いてくださり、部屋中がいい香りに満たされて、まさに「ゆっくり自分らしく暮らす」素晴らしさを体験させていただきました。

数週間前に出会ったばかりのわたしたちにまで、手厚いおもてなしをしていただいて、とても幸せな時間を過ごさせていただきました。

ご夫婦で仲良くチーズケーキを作っている姿を想像して、私もこんな素敵な地域や家族との関わり方をしてみたいなと憧れを抱いたインタビューになりました。

宇土さんご協力ありがとうございました!

二拠点生活の住民票の小話

宇土さんから二拠点生活のお話を聞けた良い機会なので、多拠点生活の移住相談で聞かれるようになった相談を一部ご紹介させていただきます。

二拠点生活になった場合、どちらに住民票をどちらにおくべきか?
不動産や税金関係を含めると各自治体によって多少違いがあるので検討中の地域の担当者へ直接問い合わせることをお勧めしますが、一般的に言われているのは住民票は滞在期間が長い生活拠点の方におくといいです。

住民票は公的サービスを受けるために必要なものですので、様々な手続きをしやすいのはどちらの拠点かを考えると答えが出やすいです。


移住にも多様性が見られるようになってきた昨今、それぞれのライフスタイルに合わせて対応しておりますので、お気軽に移住相談窓口にご相談ください。

八幡平市役所 まちづくり推進課