移住して農業に挑戦


 今回は八幡平市で唯一、九条ねぎを栽培し、ネギの専門農家をされている「合同会社みのり風土」代表村上博信さんにお話をお聞きしました。

村上さんのネギ農家としての道は環境改良に関する新規事業から始まりました。

「盛岡から移住して13年目。この仕事を始める前は盛岡市の手代森にある東日本機電開発株式会社で土壌改良を目的とした特殊肥料を作っていました。
 肥料を使ってもらったお客さんからそんなにいいモノなら自分でやってみるべきだという話を受けて、確かに農業をやっていない人に、土壌改良について言われても説得力がないと思って、農業をはじめました。」


九条ねぎとの出会い

「振り返ってみると八幡平市で最初に出会った人が良かった。農業を教えてくれた岩崎さんはこの辺りの農業やっている人たちの親方のような方で、岩崎さんのおかげで、今も皆さんに良くしてもらっています。
 農業を始めた当時はお金もなかったし、一人だったので、機械を使わない作物を選びました。全て手作業でできる作物として最初はキュウリ、秋からはネギの栽培を始めました。
 7〜8年栽培するうちに会社も立ち上げました。
 キュウリは朝晩収穫するのですが、夜明けとともに収穫が始まって、帰りは詰め終わるまで仕事が終わらないという状況で、会社を運営している意味を見出せずにいました。
 みんなが来るまでの時間と帰ってからが忙しいという状態で、一人で農業をしていた頃のやり方をずっと続けていくうちに、会社としてどうするべきか考え始めました。
 その時に、九条ねぎを栽培してみないかと京都の会社から話が来ました。」

出荷前の九条ねぎ


「京都では夏場暑くなりすぎて、九条ねぎが採れない状態になりつつある、おまけに台風で倒れてしまうと生えてこないという状況で夏場涼しい東北で産地を探しているとの話でした。     
 最初は4反歩から始めて、キュウリと並行して栽培するつもりでいましたが、そんなに簡単じゃないという話も聞いて、キュウリの栽培をやめて、ネギ一本に絞りました。」

努力が報われて次第に有名になって会社としても安定し始めます

「収穫したネギは真空予冷庫という農協の施設に一旦仮置きして、大型のチャータートラックで工場まで運んでいます。箱に九条ねぎと書いてあるので有名になっていきました。
 今では九条ねぎだけで5ヘクタール(東京ドームより少し大きいくらい)の畑で栽培しています。
 その他、長ネギ3.5ヘクタール、西洋ネギ10アールも栽培しています」

九条ねぎは横にすると反ってしまうため、品質維持のため立てた状態で出荷するのだそう。


このお仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

「農業は販売などがまだ未開拓な部分もあってやりがいを感じます。
 他の業界では当たり前にやっていることが農業は意外とできてなかったりするところがあります。
 例えば契約栽培。契約先が工場を動かすのに必要な量を安定して納品することが大前提なのですが、農作物は採れる時と採れない時があって、今までの農業では採った分全部納品するのが当たり前でした。
 契約先は使う量が決まっているのに、余ったり、足りなかったりすると処理に困りますよね。なので定量出荷することが必須になります。
 他の業界からしたら当たり前のことですが、農業ではまだ主流ではありません。
 契約栽培とはいえ、量だけ守っているわけではありません。限界まで品質を維持するスタンスでいます。
 おかげさまで日本の中でも当社の秋夏葱の品質が一番いいと京都の業者にも言われていて、品質が良いから取引の量もトップクラスに入っている様でやりがいを感じます。
 原料供給の品質はしっかりしていないと全ての話がダメになってしまいます。
 サンプルで持ってきたものはいいけど、実際納品するために規模を広げたら納品物の品質が全然違ったとか、他社では意外とあることらしくて、うちは規模を広げても品質を落とさないことを第一に考えて、どこまでベストを尽くせるか日々努力しています。
 しかし、気温や天気で思うように出荷できないということもあり、ベストを尽くしても結果を出せないということもよくあります。
 以前、ネギが雨風で全て倒されてしまったこともありました。」

収穫後の九条ねぎの株元。ここから再生するまで世話してまた収穫します。

「九条ねぎは再生ネギなので倒伏して使い物にならない時はカットしないと次が出てこないので、ただただ収穫して捨てるしかないという切ない作業です。
 しかも早くカットしないと株元が蒸れて腐ってしまうので、スピード勝負。
 毎日の出荷もあるので並行しながら捨てる作業もあって大変でした。
 大変な作業しかないのですが、たまに出来が良かったり、やり方を褒めてもらったりした時は嬉しいです。いいことがたまにあるとやめられないですね。」


農業をやってみたい人へ

「農業をやるには八幡平市はとてもいい土地です。日照時間は長いし、岩手山の伏流水は流れているし、寒暖差もあるし、作物を作るにはすごくいい土地だと思います。
 問題は寒くなるのが早いので収穫期間が短くなるデメリットはあります。
 当社で働いている人は若い人が多くて、農業未経験者がほとんどです。
 極力他業種から転職する時に農業も選択の一つに入る様に状況を揃えていきたいと思っています。当社ではさまざまな給料形態や福利厚生も整えているせいか、他の業種から入ってくる人が多いです。」


移住前に準備しておいた方が良かったことはありますか?

「何もないと思います。移住してみると、大変なことは予想していたこととは違ったりするし、そういう意味ではまず行動。どこに行っても大変なことに変わりはないので、実際に来て肌で感じることが大切だと思います。」


新たな挑戦

「今年から試験的に陸前高田市にも畑を持ちました。陸前高田市では風が強くて育苗できるハウスがないので、車で片道3時間かけて苗を積んで走っています。
 陸前高田市の方が暖かいので1ヶ月でも2ヶ月でも長く収穫できる可能性があります。それができれば本格的に陸前高田市での栽培も考えていこうと思っています。」


農業未経験者からスタートして、意欲的に挑戦し続ける村上さん。

これからも応援しています!


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