人とのつながりから八幡平へ、不安がなかった理由【連載 第1回(全2回)】

八幡平で暮らす人インタビュー

今回お話を聞いたのは、大森直子さん。東京都から移住し、八幡平市で農業に従事されています。インタビューに伺うと「お話できることあるかしら」とはにかんで笑いながら、まずは東京都から移住した経緯などを話し始めてくれました。

仕事がきっかけで岩手を訪問


東京都で生まれ育った大森さん。初めて岩手を訪れたのは仕事がきっかけでした。

「当時働いていた会社の出張で、営業として交渉で岩手に来ることがありました。その時の担当の方とだんだん仲良くなるうちに“岩手はいいところだよ”と話される機会が増えたんですね。

“内陸のものも、海のものも、山のものもおいしいし。いいところだから、お嫁においでよ”と。その方は、東京生まれで岩手に移住されたそうですが、住んでみて良さを実感したらしく、自然と私にも勧めてくれるようになりました」

20代後半のキャリアウーマンだった大森さん。ちょうど世間で“スローライフ”が注目を集めている頃だったこともあり、漠然と田舎暮らしへ憧れを持つようになります。しかし、すぐに移住することを考えていたわけではありませんでした。

「20年くらい前の、テレビとかでスローライフ特集が盛んになり始めた頃の話です。“なんて素敵な生活があるのかしらみたいな”と思ってはいました。でもその時は、具体的に考えてはいなかったです。担当の方に“いいところだから、おいで”と言われると“じゃあ、いい人がいたら紹介してくださいね”みたいに返していました笑」

専業農家と聞いてもピンとこなかった

よくある世間話の一環という認識でしたが、意外にも担当の方は乗り気でした。縁談の話を進め、初顔合わせの日程が決まります。

「岩手で会う話を聞いても、お互い結婚をしようと気負って会ったわけではないですね。私も最初は、岩手に遊びに行くきっかけぐらいにしか思っていなかったと思います」

ご縁を大切にした結果、1年ほどで結婚。まもなく子宝にも恵まれ、子育てをしながら専業農家である旦那さんの家の仕事を手伝うようになります。

ここには住めないとは全く思わなかった


当時を振り返っていただき、岩手で暮らすことになることに不安がなかったのか伺うと、考えながら答えてくれました。

「実は、はじめて紹介された時“専業農家の家の人だよ”と言われても、全然、ピンと来ていなかったです。岩手での暮らしを、具体的には想像がついていなかったと思います。なので、不安に思う要素もなかったと思いますね。

例えば雪に関しても、岩手といっても出張で来ていたのは八幡平市よりは雪が少ない盛岡でしたから。でも、最初は八幡平市も盛岡みたいなところだろうと勘違いしていました。友だちに“今週盛岡行ってくるわ”とか言うと“あそこは盛岡じゃないからね”とか言われたことも笑。

ただ、実際にここ(八幡平市)に来てみた時、ここには住めないとは全く思わなかったです。最初に洗礼みたいな雪が降っているのを見たので、その後に雪が降っているのを見ても“まあそんなでもないかなみたいな”と思うようになりました」

すんなりと八幡平へ移住した大森さん。
馴染めた理由は“人”だったと言います。次回は、スムーズに馴染めた理由などについてご紹介します。

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